ビタミンCやコウジ酸の100倍もの実力がある”ハイドロキノン”。
その美肌効果の高さから肌への刺激も強めです。
「敏感肌だとハイドロキノンで肌荒れを起こす」という口コミもあり、ハイドロキノンを使用するか迷っている女性も多いでしょう。
はじめに結論からお伝えしておくと、敏感肌でもハイドロキノンは使えます。
今回は敏感肌の女性がハイドロキノンを使う上で気をつけるポイントを解説します。
【この記事の監修医師】
表参道皮膚科医 原宿本院 副院長
三宅 真紀 先生
2005年 関西医科大学医学部卒業、都内総合病院勤務(内科・皮膚科)
2007年 シロノクリニック横浜院院長に就任
2015年 表参道美容皮膚科 副院長に就任
レーザー治療・アンチエイチング治療のエキスパートで、4万例以上の美容皮膚科治療実績アリ。
テレビ・雑誌などのメディア出演、有名化粧品の開発など、幅広い分野で活躍中。
一人ひとりの悩みにアプローチする、丁寧で細やかなカウンセリングが厚く支持されています。
【所属学会・認定医など】
その他、サーマクール認定医
Contents
スポンサーリンク
敏感肌向けのハイドロキノンの選び方
敏感肌の方に適したハイドロキノンを選ぶ際は、以下のようなハイドロキノンの種類・濃度を確認してください。
- 【種類】安定型ハイドロキノン
- 【濃度】1~3%
安定型ハイドロキノンは、純度100%のハイドロキノンに他成分を配合して安定化したもの。
他の成分をブレンドすることで、純粋なハイドロキノンよりも濃度が1/2~1/3まで薄まるので、肌への刺激も抑えられます。
また安全性が高いハイドロキノンの濃度は1~3%。
4~5%の商品もありますが、高濃度だと漂白効果が高く肌への刺激も強くなります。
肌が成分に敏感な方は、「安定型ハイドロキノン」「1~3%の濃度」を意識してハイドロキノンを選びましょう。
ハイドロキノンには上記の安定型の他に、純度100%の「純ハイドロキノン」があります。
純ハイドロキノン安定型にくらべ美肌効果はグンッと高まりますが、表示の%がそのままの濃度で配合されています。
純ハイドロキノン商品を選ぶのであれば、できれば国内製品で濃度は1.5%までに留めるのが賢明でしょう。
肌荒れの人はハイドロキノンの使用はNG
前述で紹介した“濃度1~3%に留めた安定型ハイドロキノン”でも、すでに肌の炎症がひどい方は使用できません。
【ハイドロキノン使用不可の肌の状態】
- 赤くなり痒みがある
- 火傷をしている
- 血など体液が出ている
- 乾燥でヒリヒリしている
- ニキビができている
肌トラブルが起きていると、安定型ハイドロキノンといえど症状を悪化させるリスクがあります。
上記のような肌荒れを起こしている方は、まずは症状の治療が先決。
症状がひどいようなら皮膚科を受診し、完治してからハイドロキノンで美白ケアしましょう。
敏感肌の人がハイドロキノンを使う時の注意点
肌の弱い方がハイドロキノンを使う時、パッチテストの有無や使用期間などにも注意が必要です。
- パッチテストを必ず行う
- 1ヶ月使ったら1ヶ月休む
- 部分的に使用する
- ハイドロキノンを洗い流した後はケアする
- 開封後は冷暗所に保存する
①パッチテストを二の腕で必ず行う
はじめてハイドロキノンを使用する際は、本格的に使っていく前にパッチテストを必ず行ってください。
【パッチテストの方法】
- 絆創膏などのガーゼ部分にハイドロキノンを塗布する
- 二の腕の内側に、ハイドロキノンが塗布された絆創膏を張る
- 24時間以内に赤み、かゆみなどの異常がないか確認する
約2日経って肌に異常がなければ、ハイドロキノンを使用しても問題ありません。
しかし塗布した箇所に「ピリピリ感・赤み・かゆみ」が出た場合は使用のハイドロキノンが肌質に合っていない証拠。
濃度を下げられそうならより低濃度の商品を試すか、皮膚科で自分に合ったハイドロキノンを処方してもらいましょう。
②1ヶ月使ったら1ヶ月休む
敏感肌の方は、ハイドロキノンを1ヶ月使ったら1ヶ月休むようにしてください。
健康な肌であれば、ハイドロキノンは6ヶ月まで継続使用OK。
しかし肌の弱い方が6ヶ月も刺激性の高いハイドロキノンをつかうと、肌荒れのリスクが高まります。
なので敏感肌の方は、まず1ヶ月使ったら翌月は肌を休めてあげましょう。
また毎日の使用に不安がある方は、2日に1回の使用頻度にしてみてください。
肌への刺激をより抑えられるので、肌トラブルを効果的に防げます。
③顔全体ではなく部分的に使用する
1~3%と低濃度の安定型ハイドロキノンであっても、敏感肌の方は顔全体に使わないでください。
肌が弱い方が顔全体にハイドロキノンを塗ると、予期せぬ肌トラブルの原因になります。
シミや色素沈着が気になる箇所だけに少量ずつ塗りましょう。
ハイドロキノンを塗る際は、“ポンポンと優しく塗布”するイメージ。
すりすりと必要以上に塗りこまないのがポイントです。
また唇と目の周りは避けたほうがいいですが、どうしても塗りたいときは綿棒を使うことで安全に塗れます。
(※参考:ハイドロキノンで身体を美白したい!全身・部分使用ごとに使い方教えます)
④ハイドロキノンを洗い流した後はケアする
ハイドロキノンを洗い流した後は、塗布箇所のケアが欠かせません。
ハイドロキノンを塗った肌は通常よりも敏感な状態になっています。
肌の弱い方なら、尚のこと肌が刺激を受けやすい状態。
以下のように保湿+日焼け対策で塗布箇所を守ってください。
- 外出する場合:保湿+日焼け止め
- 外出しない場合:保湿のみ
また、ハイドロキノンは必ず夜に塗るようにしましょう。
光毒性があるため、紫外線に当たると赤みやかぶれなどの副作用が現れる可能性があります。
日中外出する場合は必ずハイドロキノンを落とし、しっかり日焼け止めを塗ってください。
▼ハイドロキノンを洗い流すタイミング使用手順は下記で紹介しています。
⑤開封後は冷暗所で保管する
ハイドロキノン開封後は、空気にふれないよう蓋をしっかり締めて冷暗所で保管してください。
ハイドロキノンは酸化しやすい上に熱に弱い成分。
酸化したり熱で品質低下したりしたハイドロキノンを肌に塗ると、敏感肌の方だと肌に悪影響を及ぼしかねません。
不安であれば冷蔵庫で保管するのがベスト。
加えてハイドロキノンは1ヶ月以内には使い切るようにしましょう。
【内容量は5~10gがちょうどいい】
敏感肌の方が1ヶ月で使い切るなら、内容量5~10gの商品がおすすめ。
10gを超える商品もありますが、少量ずつ使う敏感肌の方だと余ってしまいます。
大容量の商品ではなく、少量の商品を選んでください。
敏感肌の人が気になるハイドロキノンのQ&A
Q1.敏感肌の人がハイドロキノンで効果が出る期間は?
敏感肌の人が安定型ハイドロキノンを使用した場合、効果を実感するまでに約半年の期間が必要。
本来1~3%濃度のハイドロキノンを使うと、3ヶ月~4ヶ月で効果が表れます。
しかし上述した通り、敏感肌の方のハイドロキノンの使用目安は1ヶ月おき。
通常の使用期間の倍のスパンが必要なので、半年以上かかってしまいます。
焦って塗り続けても肌トラブルを招くだけ。
肌荒れが悪化するとハイドロキノンを使えなくなるので、時間をかけてじっくりケアしていきましょう。
▼下記ではハイドロキノンの濃度ごとに効果実感までの期間を紹介しています。
Q2.ハイドロキノン使用後に赤みや腫れが出たらどうすればいい?
ハイドロキノンを使用して肌荒れが起きたら、すぐに皮膚科で診てもらいましょう。
放置したり自己判断でケアし続けたりすると、結果的に症状が悪化するリスクがあります。
すぐに皮膚科を受診できない場合は、下記の応急処置を施してください。
◎肌トラブル時の応急処置
- 患部をやさしく洗う
- 氷や保冷剤を清潔なタオルでくるむ
- 氷をくるんだタオルで患部を冷やす
- 肌の感覚が無くなったらやめる
※冷やす、やめるを大体20分程度繰り返してください。
また上記に加え、市販の皮膚炎治療薬を持っていれば併せて使うと効果的です。
応急処置後は早いうちに皮膚科で診てもらいましょう。
(※参考:ハイドロキノンに潜む副作用って?美白する前に注意すべきリスクを理解しよう)
Q3.敏感肌でもハイドロキノンとトレチノインの併用はOK?
敏感肌の方はハイドロキノンとトレチノイン※の併用は控えてください。
(※参考:トレチノインの美白効果って?ハイドロキノンとの併用の仕方や注意点も解説します!)
シミ・しわ除去としてハイドロキノンとトレチノインの併用治療は有名。
しかしトレチノインを使うと古い皮膚の剥離が起こります。
古い皮膚がむけると、新しい角質層にダイレクトにハイドロキノンが作用。
肌が敏感な方だとリスクを伴うので、クリニックでも敏感肌患者のトレチノイン併用を断っています。
ハイドロキノンとトレチノインの併用治療をどうしても受けたい方は、まずは皮膚科で併用可能か診てもらいましょう。
今回ご説明したように、敏感肌の方でも種類や濃度、使い方次第でハイドロキノンは使えます。
◎ハイドロキノンの選び方
- 【種類】安定型ハイドロキノン
- 【濃度】1~3%
◎ハイドロキノンを使う際の注意点
- パッチテストを必ず行う
- 1ヶ月使ったら1ヶ月休む
- 部分的に使用する
- ハイドロキノンを洗い流した後はケアする
- 開封後は冷暗所に保存する
◎その他概要
- 敏感肌の人だとハイドロキノンの効果実感までに約半年かかる
- ハイドロキノン使用後に肌荒れが起きたらすぐに皮膚科へ
- 敏感肌だとハイドロキノンとトレチノインの併用は不可
まずはパッチテストをして肌への影響を確認しましょう。
通常よりも手間暇が必要ですが、丁寧にハイドロキノンを使い続けることで確実に美白効果を実感できますよ。
■参考文献川島 眞, 黒川 一郎, 林 伸和, 渡辺 雅子, 谷岡 未樹,
『尋常性痤瘡の多様な症状,あなたの薬剤選択は?~実例に基づくコンセンサスミーティングメンバーからの提案~』,
日本臨床皮膚科医会雑誌/35 巻 (2018) 3 号,p. 497-507.
渋谷 文則, 石井 美津子, 小峰 幸子, 海老 沼広, 高田 裕子, 大森 喜太郎,
『12P-7-48 ヒドロキノンおよびトレチノイン軟膏のメラニン色素沈着症への適用 : 治療期間短縮を目指して』,
日本病院薬学会年会講演要旨集8 巻 (1998),p. 220.
スポンサーリンク